2011年、京都でいち早くクラフトビールの専門店を始めた店主の久保田 潤さん。木屋町にある各国ビールが充実したバーで務めていた頃、第一回目の「地ビール祭京都」にスタッフとして参加し「これだけたくさんの人がクラフトビールを飲みたがってるのに、行く店がないやん」と思ったのが開店理由のひとつだという。潜在的なニーズに着目し、受け入れる場所を作ったのだ。
当時は器材も入手し難く、久保田さんは手先の器用さを活かして樽生ビールのサーバーを自作。タップは7つ。「ほんまは樽ごとに温度調整したいんやけどうちの設備では無理なんで、どのタイプのビールでもエエ感じで飲める7~8℃に設定してます」。
一般的な生ビールを想定して飲むと「ぬるい」と感じる温度だが、「クラフトビールの真骨頂は香りと味のよさ。冷やしすぎるとそれがわからなくなる。ガブガブ飲むもんじゃないからこれでいい」。
ビールの注ぎ方は独学。注ぎ方によって口あたりや味わいが大きく変わるため、各ビールの個性に合わせてグラスや泡の状態を何通りにも調整し、久保田さんがこれと思うベストな状態を探ったという。
ほかにも、樽を1年寝かせて熟成させたり、「ハイアルコール祭」と称してアルコール8%以上のビールだけを出したりと、ここならではの味にも多く出合える。おまかせ盛り合わせ(1人前500円~)を始めとするアテの本気っぷりも評判だ。
一見コワモテな久保田さんなれど、素直な気持ちでビールを楽しみたい客は優しく胸に迎えてくれる。安心して扉を開けよう。