繁華街からは微妙に外れたエリア・四条堀川にありながら、ビニールシートごしに見える店内はいつも人でいっぱい。
それでも、1階はスタンディングだから1人ならどうにかなるでしょと気軽に入れる空気感がまたいい感じなのです。
オープンは2011年。オーナーの矢田和生さんが寺町で営んでいたカフェでクラフトビールを扱うことが増え、そこから派生する形でよりビールに特化した店を開いたのがこの「BUNGALOW」。
「ビールが中心だけどビアバーではなく、食事もしっかり楽しんでもらえる“洋風居酒屋”的な感じにしたかったんです」と矢田さん。
自身も好きな立ち飲みスタイルにすることで、かしこまらずにクラフトビールを飲める環境に。
樽生ビールは10タップと充実していて、ラガー、ペールエール、IPA、スタウトなどと幅広い味わいが揃っています。
ビールはすべて国産で、20〜30社から絞り込んだ『志賀高原ビール』『うしとらブルワリー』『大山Gビール』『京都醸造』など約10社の“常連組”のものを扱うことが多いのだそう。
「僕はもともとワインが好きで、クラフトビールと出合った時に『ワインと同じで造り手のスピリッツが感じられるお酒だ』と感じたんです。だからビアフェスなどで実際に顔を合わせた造り手さんの人となりも含めて、思いが伝わるようなビールだけを扱いたいと思っています」
「食中酒としてのビールを楽しんでほしいという思いから、ビールと同じように料理にも重きをおいているのがこの店の特徴。
自家製のパテ・ド・カンパーニュやソーセージ、黒毛和牛のステーキに黒ビールを使ったチーズケーキまで、本格的な料理がスタンバイしています。迷う〜。
「クラフトビールは味わいの個性が際立っているものが多いので、ワインのペアリングさながらに『それならこんな料理が合うんちゃうか』とイメージしやすい」のだそう。
仔羊のカレーとパン900円は、クミンやコリアンダーなどのスパイスを10種ほど使ったカレーが専門店レベルの旨さで人気の1品。
これに合わせるならと薦めてもらったのが、取材時に『志賀高原ビール』からリリースされていた、『箕面ビール』の故・大下正司社長の追悼ビール「MASAJI THE GREAT W-IPA」。大下社長を偲んだ全国のブルワリーが年に1度特別なビールをリリースするというプロジェクトによるもの。
『箕面ビール』のスタウトをイメージしたという濃厚な黒ビールで、矢田さん曰く「これ、酔うヤツ!」。確かに一口目からホップがガツンときてインパクトに呑まれる感じながら、呑み進めると意外にドライですいすい喉を通る。
仔羊カレーのスパイシーさと相まって、なんだかテンションが上がってくる~。
(単に酔っぱらってるだけでしょうか)
そして、もう1杯は『うしとらブルワリー』の、その名も「#134すっぱいは成功のもと』。小麦の風味に加えて、乳酸菌ぽい酸味を感じる珍しい味わいです。これ、ポテトサラダとか合いそう。
そんな風に自然と料理を求めたくなるビールがそろっているっていうことですよね。
次はどんな組み合わせで楽しもうか、そんなことを考えながらぼんやり立ち飲みする時間が何よりの贅沢という気がします。